PRESIDENT TALK

社長対談

地域・社会に貢献できる
ものづくりを

常盤工業株式会社
常盤工業株式会社様
総合建設業を手がけ、建築事業、CS建物再生事業、土木事業、住宅事業の4部門から成り立つ。1926年の創業で、2026年には100年企業の仲間入りをする。2022年には浜松市中央区新津町の敷地内に浜松いわた信用金庫野口支店を建設し、新社屋が完成。地域の人々が利用できるスペースを設け、地域交流の拠点としての役割も担う。

常盤工業株式会社
代表取締役社長
市川 浩透

はましんリース株式会社
代表取締役
水野 雅之

常盤工業株式会社
水野
御社では2022年に新社屋が完成し、6月には地域交流の機能を備えた「ときはまスクエア」をオープンされました。それまでの経緯をお話しいただけますか?
市川
旧社屋は、昭和52年に建設されてから50年近く経っていたため老朽化が進み、耐震診断の結果も思わしくなかったことから、4~5年前から社屋の建て替えを検討し始めました。実は、その時点で目標に定めたことが2つあります。1つは、「地域に開かれた社屋にすること」。そしてもう1つは「SDGsや脱炭素社会に貢献できる建物にすること」です。ただしオフィスである以上、主役は「社員」ですから、社員が生き生きと働ける社屋をつくることが最も大切だという考えが根底にありました。建物の省エネ化と社員が快適に過ごす環境づくりとは相反する面もありますが、なんとかして「省エネと社員が働きやすい環境を両立した建物をつくりたい」というのが当初からの考えでした。
常盤工業株式会社
水野
御社の敷地内には、新社屋とともに浜松いわた信用金庫の野口支店も移転・新築させていただきました。浜松いわた信用金庫としては、民間の企業様の敷地内に支店を建設するのは初めての試みでしたので、私もどんな感じになるのかとても楽しみにしていました。先駆的な発想のもと、このように素晴らしいコミュニティ空間を実現していただけたことは感謝の念に堪えません。
市川
当初の計画では、敷地内にコンビニやカフェ、物販店のような施設ができれば、より地域の皆様に親しんでいただけるだろうと考えていたのですが、たまたま当時の浜松いわた信用金庫様の野口支店長様から支店の移転計画があるという話を伺い、「それなら当社の敷地内に建てませんか」とお声をおかけした次第です。浜松いわた信用金庫様は地元の信用力も高いですし、敷地内に支店を構えていただけたことは当社にとって当初の想定以上にありがたいことでした。
常盤工業株式会社
水野
新社屋は、太陽光発電による創エネと、省エネ設備の導入によりZEB(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル:快適な室内環境を実現しながら、建物で消費する年間の一次エネルギーの収支をゼロにすることを目指した建物)の認定を取得されたそうですね。
市川
はい。まず、倉庫の上に太陽光発電パネルを搭載し、本館の上には太陽熱でお湯を沸かす設備を導入し、冬には太陽熱で温めたお湯を館内に循環させて、その輻射熱で室内を暖めます。また、夏は井戸水を機械で少し冷やしてから館内に循環させて室内を涼しくします。その結果、エアコンを使用しなくても館内を年中快適に保つことができるようになり、結果的に導入以来消費エネルギーを100%以上削減することができました。
常盤工業株式会社
水野
それは驚くべき成果ですね。これだけ先駆的な設備を導入された狙いは何ですか?
市川
我々は高度経済成長の時代からインフラづくりを通じて日本の発展に貢献してきましましたが、結果的に大きな経済成長を遂げた一方で、地球環境にダメージを与えることになってしまったのも事実です。そのため、今後はインフラをリプレイスして省エネ化を推進することが私たちの使命ではないかと考えたのです。そのためには、まず私たち自身が社屋のリプレイスに着手すべきだと考え、省エネの実験棟のようなつもりで新社屋を建てました。そして、実際に「これは役立つ」というものをこれからお客様にご提案していきながら、少しずつ地域に省エネ性の高い建物を増やし、政府が掲げるカーボンニュートラル2030の達成に貢献していきたいと考えています。そのためにもぜひ大勢の方々に当社の社屋に訪れていただき、少しでも関心を持っていただければと思います。
常盤工業株式会社
水野
さらに、新社屋には地域交流の拠点としての機能も持たせ、活用範囲を広げていかれるお考えとのことですが。
市川
そうです。実は、当社のように総合建設業を営む会社は、地域の一般の方々と交流する機会がほとんどないのです。そのため、普段から皆様と交流できる場を設けたいと考えて、社内にノーセキュリティのスペースを設けました。ですから、ひと声お掛けいただければ、ご近所の方がお茶を飲みに来ていただくのも大歓迎ですし、近くのマンションの管理組合の総会や色々な地域イベントの会場としてご利用いただくこともできます。また、浜松いわた信用金庫野口支店様も含めた本社敷地全体を「ときはまスクエア」と名付け、野口支店様と共同で定期的に地域交流イベントを企画し、ラジオの公開放送やセミナー、ワークショップ、マルシェなどを開催しています。「ときはまスクエア」で地域の方々が互いに交流を深め、有益な情報を得たり、新しい繋がりが生まれたりすることを願っています。こうして地域の方々との距離を縮めることで、3Kといわれる建設業界のイメージを払拭していきたいですし、こうした取り組みは人手不足の折、採用活動においてもプラス面が期待できるのではないかと思います。
常盤工業株式会社
水野
社屋のZEB化や地域交流以外に、社員の方々が働きやすい環境づくりにも注力されたとのことですが、それはどのような内容ですか?
市川
まず、先に述べた空調設備によって館内の温熱環境を年中快適に保ち、ロビーに吹き抜け空間を設けて社員がのびのびと働けるようにしました。先般、社員全員から空調環境のアンケートを取ったところ、「劇的に改善した」という回答が一番多かったです。旧社屋では、冬に足元が冷えるとか、空調の風が直接当たって気分がすぐれないといった意見がありましたが、それらをすべて払拭することができ、大変満足しています。

また、オフィス内をフリーアドレスにし、「ディスカッションする際にはこの場所」、「集中力を高めたいときはこの場所」、「リラックスしながら仕事をしたいときはこの場所」…というように、目的に応じて自由に席を確保できるようにした結果、社内がより明るく自由な雰囲気となり、結果的に生産性も高まりました。残業時間もかなり削減され、働く環境が格段に改善されたように感じています。フリーアドレスに伴って、書類もクラウド上に保存するようにしてペーパレス化を推進したことから、資源の節約にも貢献できています。
市川
さらに、企業理念に関わることですが、実は、当社の創業者は浜松一の左官職人だったことから、日本の著名な左官職人に依頼して新社屋のエントランスやロビーに塗り壁のオブジェを設けました。SDGsへの取り組みももちろん大切ですが、当社の第一の存在意義は「ものづくりでいい仕事をする」ことですので、社員たちは塗り壁を見て、常にそのことを忘れずに仕事に励んでほしいと考えています。
水野
新社屋は、地域の方々や社員の皆様に対する社長の想いを体現した建物であることが、お話を聞いてよくわかりました。多様な可能性が備わった場所ですので、これからどんなふうに活用されていくのか、私たちも楽しみです。また、当社といたしましても、金融面、リース面においてこの地域が全国でも模範となる地域にしたいと考えておりますので、今後も御社の取り組みを全面的にご支援させていただきたいと思っています。これからもどうぞよろしくお願いいたします。